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日本語教師JTO 新米教師編6

 

第百六話

第37課。

 

第百十一話

第42課。そして・・・。

第百七話

第38課。

 

第百十二話

第43課。

第百八話

第39課。

 

第百十三話

卒業式。

第百九話

第40課。

 

第百十四話

補習1。

第百十話

第41課。

     
 
 第百六話.第37課。

ジャジャジャジャーン。
37課は「受身」。大きな文型の1つだ。やりがい、あるわ。
新出語彙の確認は終わっており、JTOはまさに1からの「受身」の導入を担当。

「わたしは友だちと飲みに行きました。夜の1:00に家へ帰りました。とても遅いですね。父が待っていました。『今、何時ですか?遅いです。』父は私をしかりました。私の気持ち、嫌ですね。
私は父にしかられました。」
こんな風にいくつかの導入を用意し、開始。
口頭練習のあと、助詞がかわること、動詞の形も変わること、を説明。
するとそこにちょうどいい質問が。
「先生、『父は私をしかりました』と『私は父にしかられました』、どちらでもいいですか。どちらが丁寧ですか。」
今までの文型の推移から、この学生はどちらかが丁寧な表現だろう、と思っていたらしい。
「これは、気持ちの文型です。『受身』は大体、『嫌だなー』の気持ちの時に使います。父が私をしかりました。うれしいですか?」
「うれしくないです。」
「そう。これは私の気持ちです。気持ちの文型です。そして、これはいつも『私』のことです。ですから『私は』は言わなくてもいいです。時々うれしい時にも使います。」
この「受身」を使うときの確認ができた。

動詞の形の確認もたくさんやり、次へ。
この「受身」、もう1つわけて導入しなければならないものがある。
上記の導入は、単純に、
「父はわたしをしかりました。
→「わたしは父にしかられました。」
と入れ替えればいいもの。
しかしもう1つ、「私の所有物」が入った文の導入の時にはちょっと注意。
例えば、
「電車の中で隣の人が私の足を踏みました。」
を受身にしようとすると、学生は以下のように間違える。
「私の足は隣の人に踏まれました。」
文法的には間違いじゃないけど、私たち日本人はこんな風に言わない。
「わたしは隣の人に足を踏まれました。」
これでいい。
これもきちんと説明し、混乱無く終了。

動詞の形の変形練習には時間がとられたが、まずまず、うまくいった課だった。
でもこの「受身」を実際に使えるようになるのはいつのことやら。

 
 
 第百七話.第38課。

ここでは、
・絵をかくのは楽しいです。
・わたしは星を見るのが好きです。
・財布を持ってくるのを忘れました。
・わたしが日本へきたのは去年の3月です。
といった表現。「のは」「のが」「のを」は普段、私たちはよーく使っている。
ここでよく質問があるのは、
「絵をかくのは楽しいです。」
「絵をかくことは楽しいです。」
は同じですか、という質問。逆にここまで勉強してきた「こと」を使った文型というのは、
・私の趣味は絵をかくことです。
・私はアメリカへ行ったことがあります。
・私は日本語を話すことができます。
の3種類。だから「こと」はこれだけに使う、と言い切り、「のは」「のが」は別物、として教える。
じゃないと混乱するだけだものね。

と用意をしていったのだが、前の課の問題と新出語彙の説明で終わってしまった。

 
 
 第百八話.第39課。

この日の朝、養成講座担当の先生が、
「今日、JTOさんの授業を見学してもいいでしょうか。」
と訪ねてきた。もちろん、イヤと言えるわけがない。ホントはイヤだけど。だって、緊張するんだもの。どうしてだろう。まだまだ自分に不安なところがあるからなんだろうか。学生のための授業なんだけど、どうしても「いいトコ見せなきゃ」と、見学の先生への授業になってしまいがち。

この課では
・ニュースを聞い、びっくりしました。
などの「原因」「理由」の「て」。この「て」のあとには、「びっくりした」「がっかりした」などの感情がくる。ここは実は養成講座で演習をやったところ。簡単とはいえ、一度やっているし、そのときの教材もまだとっておいてある。
ここでJTOが使うのは、去年オープンした時の、近所のコジマ電気のチラシ。
なんたって、ヘアードライヤーが10円。テレビが880円。これ見たらびっくりするぜい。

そして早速このチラシを見せながら導入開始。横目で見学の先生をチラチラ見ながら。
「これはコジマ電気のチラシです。知っていますか。」−「はーい。」
「わたしのうちの近くに新しいコジマ電気ができました。Aさん、ヘアードライヤー、いくらですか。」
ー「えーっと、・・・・10円?!!10円です。」
他の学生からも「えー、ほんと?」という声が。ザワザワと、いい雰囲気ができてきた。
「安いですね。わたしはチラシを見ました。びっくりしました。」
学生、うんうんうなづく。
「チラシを見ました。びっくりしました。−チラシをみてびっくりしました。」
こんなふうに導入。
導入はうまくいった。

が、しかし。事は起こってしまった。こういう見学の先生がいるときに限って。
実はこのとき、やはり教科書の進み具合が芳しくなく、なるべくスピードをあげてくれ、と言われていたのが1つ。そしてまさにこの課から、「もうこのころなら、動詞・形容詞の例を1つずつあげ、それで形の確認ができるだろう」と思ったのが1つ。こんな理由でちょっと今までと形を変えて練習してみた。
ああ〜。それがアダになるとは。
何が起こったかって?
このあとの学生の文でこんな文が。
・来月国へ帰って、うれしいです。
・父に誉めて、うれしいです。
・明日旅行に行って、うれしいです。
つまり、もう少し動詞、形容詞での練習をたくさんやり、そのあと、可能や不可能の練習もするべきだったのだ。ごめんよ〜。

のちほど、見学の先生にお言葉をいただきました。
でも、これもいい経験だと思った。学生にはホント、申し訳なかったと思うけど、やっぱりひとつひとつ、きちんとやってあげなければならないんだな、と。決して手抜きをしたわけじゃないんだけど、抜けたところは本当に抜けてしまうんだな、と思った。
気をつけますです。

 
 
 第百九話.第40課。

この課では、
・山の高さはどうやって測る、知っていますか。
・忘年会に出席できるかどうか、返事をください。
・この服を着てみてもいいですか

「か」・「かどうか」の違いは、その文に疑問詞があるかどうかで決まる。それさえわかれば特に問題が無い。・・・・はずなのだが、なかなかうまくいかない。普通体がすぐ作れる学生が、この期に及んであまりいないから。導入以前の問題かもしれない・・・・。

この課の問題の中の読解に、「3億円事件」のことが載っている。
みんなで読み、意味の確認をしたあと、噛み砕いてもう少し細かく説明した。意外とみんな、興味をもって聞いてくれた。

 
 
 第百十話.第41課。

この課では、「あげます」「もらいます」「くれます」の丁寧な言い方を勉強する。
「やります」も勉強するが、普段、私たちはいつ「やります」を使っているだろうか、と考える。
JTOは以前、犬を飼っていた。もちろん、家族の一員。
「ペットにえさをやる
なんて言葉、使えなかった。使いたくなかった。やっぱり、
「ペットにご飯をあげる」
になってしまう。
でも本当は、「やる」を使う。目下・・・自分の子どもや妹、弟、そしてペットや植物には「やる」を使う。
でもでも、ガーデニング好きのJTOの母は、愛情込めて花に水を「あげている」。

ここは導入担当ではなかった。

 
 
 第百十一話.第42課。そして・・・。

ここでは、
・将来自分の店を持つために貯金しています。
・このはさみは花を切るのに使います。
を勉強する。
授業の流れで、ここも導入を担当しなかった。

でも注意する点として、「ために」と「ように」はキチンと把握しておかなければならない。


このころから来期の新しい時間割等が決まってくる。
JTOはもう一度初級を担当して、もっと確実なものにしたかった。が、しかし、手元に渡された来期の時間割(案)を見てみると、なんと、中級のクラスにもJTOの名前が入っているじゃあないの!
いや〜、はっきりいって、自身がないよぉ。たった一回の教育実習だけだもの。確かに中級クラスの授業は山ほど見学して、流れなどはつかんでいたけど、やっぱり自信がなかった。
それにその時間割をもっとよくよく見てみると、なんとJTO、初級クラスも担当し、そのクラスの「担任」になっていた。どっひゃ〜っ。
「担任」ですよ。「担任」。「た・ん・に・ん」。
なんだかとっても背中が重いんですけど。
あとから時間割担当の先生にたずねた。
「あの、これ、JTOで大丈夫でしょうか。いいんでしょうか。」
ホント、心の中からそう思った。しかしあっさり、
「ええ、JTOさんならできると思ったからお願いしました。」
・・・・・あまりにもJTOを買いかぶってないか?もしかしたらとんでもないことになるかもしれないぞ。おいおい、大丈夫か?いいのか?JTOで?後悔しないか?

と思いつつも、なぜか頭の違う部分では、「こうしたいな」とか「こうできたらいいな」とか、すでに色々な想像がムクムクふくらんでいる。頭の中で不安と期待が一緒に手をつないでいた。

 
 
 第百十二話.第43課。

この課では、
・今にも雨が降りそうです。
・ちょっとキップを買ってきます。
を勉強する。
JTOは「〜てきます」を担当。

これはそんなに難しくない文型。ちょうど休み時間に学生たちがコンビニでジュースを買って来ていた。これを使って導入。
この教科書では「〜てきます」を扱っているが、もちろん「〜て行きます」もある。このクラスでは触れなかったが、中級になればイヤでも出てきて、覚えなければならない文型だ。物理的に「行く・来る」だけじゃなく、「だんだん涼しくなってきた」とか「記憶が薄れていく」などの表現もある。
しかし、初級で勉強できることはきちんとやっておかなければ、中級にいっても苦労するだけ。
つくづく、初級での基礎が大切なんだな、と思った。

そして実は、この期のJTOの授業はこの日で終わる。
二日後は卒業式。
JTOのクラスからは卒業する学生はいないし、ひきつづき勉強する学生のほうが多いので、そんなにバタバタはしなかった。でも「みんなの日本語」を終わることができなかったため、引き続き残る学生を対象に、冬休み一週間ほど補習をすることになった。時間割をみたけど、かなりきついね。

実はJTO、自分の評価が知りたくて、個人的に授業の感想を書かせてみた。
プリントを作り、無記名で書いてもらった。・・・・字をみれば誰が書いたかわかっちゃうけどね。
話すスピード、発音、説明のし方・・・・そして感想。
これは次のJTOの授業に必要な、大切な意見になる。だからどうしても知りたかった。
そしてその結果・・・・。
は、秘密。

卒業式ははじめてなので、雰囲気、進行など見ておきたかった。
クラスは持たなかったが、教育実習でお世話になったクラスの学生が何人か卒業する。その学生にはおめでとうといってあげたかった。・・・・やっぱ泣くかな・・。

 
 
 第百十三話.卒業式。

卒業式。
この式に参加するなんて、何年ぶりだろう。もう10年はたってるね、最後の卒業式から。この10年間、なんか卒業したものがあるかな、と考える。なんにもない。・・・養成講座は・・・終了しただけか。
でもこの雰囲気。懐かしい。
この場にいるだけで、なんだか心がじ〜んとくる。
ホールの後に座り、学生の背中を見ながらの卒業式になった。

学生が名前をよばれ、証書を受け取り、校長先生が「おめでとう」と声をかける。
皆勤賞、優秀賞など、特別なご褒美も用意されていた。
・・・・・やっぱり泣いちゃうね。もう、JTOの目には涙が溜まりに溜まっていた。
学生からの言葉を聞いたとき、ポロポロ落ちてきた。
今までは「卒業式」というと、見送られる立場だったが、このように見送る立場にたつと、また違った感情がわきでてくる。何といえばいいんだろう。
悲しい、じゃないんだよね。よくがんばったね、これからもがんばるんだよ・・・・。
その思いが頂点に達している、っていうか・・・。
涙の種類があるなら、きっとこの涙は今まで流したことがない涙だと思う。

 
 
 第百十四話.補習1。

さ、まだまだ授業は続いている。
教科書を終わることができなかったため、今日から一週間の補習になる。
一週間を3人の先生で担当し、1日6時間の授業。・・・・きついね。
学生も、最初のうちは気力がまだあったけど、だんだん苦しくなってきているのがわかる。
午後の授業なんて、頭に入っているのかどうかも・・・・。
授業予定でいくと、44課から50課まで一週間。・・・つまり、復習を入れると、1課を4時間で終わらせなければならない。・・・・これは大変だ。

JTOは44課の文型4つのうち、3つを入れなければならない。
・ゆうべお酒を飲みすぎました
・このパソコンは使いやすいです。
・スボンを短くしてください
活動的なものもできず、詰め込むだけの授業になってしまった。
ここは特に、動詞の変形などはないので、何とかうまくいったが、これから「使役」がでてくる。
動詞の変形練習などは時間を取られるから、うまく時間を使っていかなければならない。

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