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日本語教師JTO 担任編1

 

第百十九話

担任の仕事。

 

第百二十三話

お花見。

第百二十話

2003年4月 入学式。

 

第百二十四話

110番!

第百二十一話

新しいクラスー初級。

 

第百二十五話

歌の授業。

第百二十二話

新しいクラスー中級。

 

第百二十六話

中級クラスと横浜へ。

 
 第百十九話.担任の仕事。

学校の講師室で、担任の仕事は何をしなければならないか、色々考えていた。
すると、講座でもお世話になった主任教諭の先生が現われた。なんともタイミングよく、担任の仕事についての説明をしにきてくださった。

担任の仕事としては、もちろん、クラス全体を把握して責任を持たなければならない、という大きな仕事がある。どんな背景を背負った、どんな学生が、どうして日本語を勉強したいのか、そして、どう日本語を活かして行きたいのかを把握しなければならない。というより、当たり前に知っておかなければならないんだろうな。
そんな抽象的な仕事もあれば、半年間のスケジュール、1ヶ月の教科書の進度予定など、カリキュラムを作ったり、出席日数の計算等、ちょこちょっとしなければならないものもある。

このような仕事はあくまでも仕事であって、これ以前に学生との信頼関係を深めなければ、上っ面の担任でしかなくなる。
「学生との信頼関係」
1クラス18人も学生がいたら、全員のことを把握するのは難しいのだろうか。1人1人と信頼がもてるんだろうか。JTOを信頼してくれるんだろうか・・・。
改めて担任の重大さを思い知った。

もちろん、学生の性格にもよるだろうし、国籍によっても違いがある。
どんな学生がくるんだろう。
初級クラス、といっても、まったくのゼロのクラスではなく、最低でも形容詞くらいまでは勉強している学生を受け持つことになっている。最初のコミュニケーションは、去年の時よりはスムーズだと思う。
たぶん、クラス全員が新入生。みんな、ドキドキだろうな。

 
 
 第百二十話.2003年4月 入学式。

また、去年の10月期と同様に、新入生が入学してきた。
JTO、またしても、英語圏の学生の通訳になってしまった。これ、次回は辞退しようかな。。。だんだん自信がなくなってきたの。。。

今回はフィリピン、香港英国、ロシアの学生が英語圏入学者として数名いた。ロシアの学生の日本語は特に問題なかったため、初級と見られるフィリプン、香港英国の学生を相手に通訳した。

その後、プレイスメントテストと面接。
去年一度お手伝いをしていたため、流れがわかったし、クラス分けの時も自分なりにササッと手伝えた。そして、とうとうJTOのクラスの学生が決まった。
全部で16人。
国籍は韓国7人、台湾6人、中国1人、上記の香港英国1人、内モンゴル1人の16人。
男性が7人女性9人。これは他のクラスに比べて男性の比率が大きい。普通はもっと女性のほうが多いものなんだけど、このくらい男の子がいれば、元気なクラスになるだろう。
最初は名前を見ても男か女かわからない。
名簿を見せてもらって、国籍と性別、簡単な名前の読みをメモしておく。

・・・・JTOのクラス。あしたから始まる、JTOのクラス。
心臓がバクバクしてきたっ!!!

 
 
 第百二十一話.新しいクラスー初級。

JTOが担任をするこの初級クラスのレベルは、まったくのゼロではないクラス。ひらがな・カタカナ・ちょっとの漢字はわかり、簡単な自己紹介が言える。少し形容詞も言える。動詞もちびっと言える。
でも、これだけでも大変ありがたい、と思った。
前回のクラスはまったくのゼロからの学生が半分近くおり、教師の言葉がかなり限られていた。
そのクラスと1レベル違うだけなのに、こんなにも違うのか、と思った。つまり、自分の国で多少勉強してきた学生たちなので、基本が入っている。ひらがなが書けるだけでも違うんだなー、としみじみ実感。

この初級クラスの1番最初は別の先生が担当。その先生、シートを使って自己紹介をさせてくれていた。書き終わったら、教室の壁に貼ろう、というもの。写真をはるところもあり、何か自分の写真を持っている学生は貼っていたし、もっていない学生は絵を書いていた。
できる学生は趣味の欄で、「泳ぐこと」など、すでに辞書形を使えていた。
もちろん。
JTOも書きましたよ。先生も自己紹介しなくちゃねぇ。
ある程度はまじめに書いたけど、写真。さて、何の写真を使おうか。
・・ニヤ。アレにしよう。
アイスブレイク、という言葉がある。
何かまじめな会議などの最初で、出席者の気持ちを和らげるためのユーモア・ジョークなどを言うこと。学生達はまだ緊張している。何か笑いが欲しかった。笑い、というより、あ、この先生、冗談通じる、みたいな、そんな雰囲気を出したかった。
集めた自己紹介シートを放課後セッセと貼る。JTOのも貼る。写真は「松嶋菜々子」を使った。
有名な女優だし、きれいだし、ま、ある程度は受けるかな、というくらいの気持ちだった。

そして次の日、教室に入ったその瞬間、
「あ〜っ!!!ナナコ!ナナコ!」
「ナナコ先生。おはようございます〜。」
「先生、ナナコ?違うよ。」
いえ〜い。学生の反応はいいぞ。受けてる受けてる。
「えっ?わたし、ナナコ。同じ顔。わたし、わたし。」
とちょっと大げさなアクションで言ってみた。するとみんな、笑ってくれた。
うれしかった。
・・・・来週の写真はもう決めているんだよねぇ。1週間ごとに写真を変えようと思っている。
ちなみに来週は浜崎あゆみ。その次の週はカオナシ。

とにかく、元気がいいクラス。韓国・台湾の学生が半分ずつだし、男女の比率も半分。これはいいかもね。特に内モンゴルからきた学生がいい味をだしている。
うん。いい感じだ。

そしてこのクラス、少し変わっているかも。
普通、特に初級のクラスって、同じ国同士がかたまりやすい。母国語で話せるし、通じないとき助け合えるし。そしてだんだん自分の席が決まっていく。
教師側もそれを見越して、あの席は○○さん、というように、顔と名前を一致させていく。
が、しかし。
このクラスはなんでだろ。
毎日バラバラ。
JTOのクラスはそれが通用しない。毎日、みんなバラバラ。アッチコッチと席を変えている。
ときには、休み時間にも席を変えている。よくみると、隣は自分と同じ国じゃない人。
ふむふむ。
いい傾向だね。自主的にバラバラに座っているんだ。
いい学生達だね。

 
 
 第百二十二話.新しいクラスー中級。

JTOはもう1つ、中級のクラスも担当することになった。
レベルとしては、みんなの日本語が終わったくらいの、やっと中級に入った学生がいるクラスだった。
ほとんどが新入生だったが、数名、前期から引き続き勉強している学生も混ざっていた。JTOが担当していたクラスからも1人いた。
このクラスも他のクラスに比べて、男性の学生が多い。
しかも、女の子はみんな、かわいい。いわゆる粒ぞろい、ってヤツ。

そしてさすが中級。
言いたいことはちゃんと言える。基本的な文型ももちろんだが、わからなくても別の言葉で言い換えることができる。教師としても使える言葉の範囲が広がるから、多少ラク。
JTOは、このクラスでは「J301」という読解+文法の教科書と、「Jブリッジ」という中級への橋渡し的な教科書を担当することになった。
このクラスの担任の先生は、JTOが担任をしているクラスも受け持っており、お互いのクラスの連絡が取りやすい状態。うん、いいね。
今回の先生チームは、JTOにとって非常に頼もしい先輩先生たちが一緒だ。

この先生、実はもう1クラス担当していらっしゃる。3クラス担当、って、すごいよね。
しかももう1つのクラスは進学クラス。
つまりこの先生、初級・中級・進学とすべてのクラスを受け持っている。いや〜っ、尊敬っ!!
JTOはいつになったらオールマイティな先生になれるんだろう。
初級は今回2度目。2度目って、気分的にもラクになっていた。前回一度導入したところなんかは、もう一度見直すチャンスができるし、さらにその時できなかったことを今回試すこともできるし、うまくいかなかったところを修正できる。
中級はもちろん初めて。「J301」は実習でも扱ったし、その当時の中級クラスに入り浸っていたので、流れなどはわかっていた。しかし、「Jブリッジ」はまったく初めて。
ていうより、この学校で扱うのが初めてらしい。
今はそれが不安。
担任の先生とカリキュラムを考えながら進めていく。

 
 
 第百二十三話.お花見。

前にも書いたように、中級クラスの担任の先生はJTOのクラスと進学クラスを担当している。
この進学クラスの担任の先生というのが、実はJTOのクラスも担当している。
つまり、JTOを含めたこの3人の教師、時間割上、なにかと絡み合っている存在だった。これって、たぶん珍しいと思う。
それに気づいたのは、お花見に行きたいな、という話しが出たとき。
ちょうど桜が満開のこの時期は今しかない。これを見逃すことはないし、クラスの雰囲気をよくするのにもいいだろう、ということでお花見の話しがでていたのだ。
たまたま時間割を見てみたら、この3クラス、うまい具合に教師たちが調整できるようになっていた。
いえ〜い、お花見ぃ〜。
ということですぐ決まった。
場所は学校から歩いていける「飛鳥山」。
・・・といっても、実は1時間くらい歩いた。。。こんなに歩くとは・・・。
JTOにとっても初めての場所だったので、ただただ他のクラスについていくしかなかった。
学生に「まだですか。まだですか」
と聞かれ、答えられないJTO。
でもこの歩きの時間で色々学生と話すことができた。

桜は満開で、花吹雪が舞い散る、いい時期だった。
お昼を食べ、何かゲームでもしなくちゃいけなかったのだが、JTO、何も考えてこなかった・・・。
するとある学生が
「先生、『大きい、古いの時計』の歌、わかりますか」
と聞いてきた。「おおきなのっぽの古時計」のことね。ちょうど平井堅が歌っていて、学生に歌いやすいようだった。
わかりますよ、と言ったが最後、歌うハメになってしまった。でも、まんざら嫌いでもないJTO。
歌詞も見ずにワンフレーズ歌い上げた。
それから合唱タイムになってしまった(笑)。
それぞれの国の歌・・なんでもいいから、みんなで歌ってもらうことにした。
内モンゴルの学生は1人だったが、お願いしたらモンゴル語でなにやら歌ってくれた。

その様子をデジカメにおさめ、編集し、ホームページに載せた。(これとは別のHPね)
だんだんいい雰囲気ができてきたかな。
少しは信頼してくれてるかな?

 
 
 第百二十四話.110番!

新学期始まってすぐの日曜日。明日の準備も終わり、横浜をフラフラしていた。
本屋で立ち読みをしていたら、JTOの携帯がブルブル震えた。見るとJTOのクラスの子からだった。
・・・携帯に学生の名前を登録しといて良かった・・。
「せんせい、こんにちは。ちょっと・・待って。ちょっと・・。」
その学生はまず自分の名前を言った。そのあと、なんやら母国語でごちゃごちゃ話している、と思ったら、すぐ別の人に変わった。というのも、その学生はまだ日本語が上手じゃなく、うまく話せない。そのため、ルームメイト=同じ学校の上級クラスにいる学生に代わったのだった。
「どうしましたか?」
「あの、わたしたちのアパートの鍵が壊れました。」
「あら、どうしたの?」
「アパートの外側の鍵が、誰かが、何か入れました。わたしたち、今からでかけるつもりです。でも、鍵ができません。」
ピンときた。
「・・・ドアの外の鍵に何か入っています。鍵が入りません。そうですか?」
「そうです。」
どうやらいたずららしい。外側のドアの鍵に粘土のようなものを詰められ、外から鍵がかけられない、というのだ。これじゃ出かけられない。かわいそうに。
「アパートの管理人に言いましたか?鍵を換えてくれますよ。」
「はい、言いました。夕方変えます。でも、管理人が警察に言ってください、と言いました。でも私たちはちょっと・・・難しい・・・。先生、お願いします。」
「わかりました。じゃ、ちょっと住所と電話番号を教えてください。」
学生の住所と携帯の番号、名前を確認し、一度電話を切った。
さて。
警察?
JTO、はじめてなんですけど。
こういうときって、所轄の警察署に電話するべきだったんだろうけど、JTOは「110」の番号しか思い浮かばなかった。・・・・ハァ〜・・。かける前にはやっぱり緊張する。大きな事件じゃないけど、なんだか緊張するな。悪いことしてないのにね。
んで、JTOの携帯でかけた。
祝!初、110番!
「はいっ、110番です。どうしましたか。」
「あの、ちょっと大きな事件じゃないんですが・・・。」
などと、ヘンな言い訳から入ってしまった会話。逆に変に勘ぐられたらどうしよう、とか、逆探知されて怪しまれたらどうしよう、とか、モヤモヤとヘンなことばかり浮かんでしまう。
とにかく現状況を説明した。すると
「え〜、このお電話は横浜からかけていますよね。被害に遭われた方は埼玉ですから、県警の電話番号を教えますのでもう一度電話してもらえます?」
そう言われ、その電話番号を聞いた。
・・・携帯でも、どこからかけたかわかるんだ・・・。なんとなく公衆電話でかけることにした。
県警に電話をかけた。すると、今度はその学生が住んでいる近くの警察署に電話をかけるように言われた。
そしてやっと担当の人と話しができ、状況を説明。近くの交番に連絡してくれ、お巡りさんをアパートまで向かわせる、と言ってくれた。話している間にJTOの携帯がポケットの中でブルブル震えている。さっきの学生だった。
すぐ、警察からの連絡を説明した。
「わかりました。ありがとうございました。本当にありがとうございました。」
「よかったね。」
ふぅ〜っ。
一安心。

次の日、当人達に聞いてみた。
警察はちゃんとやってくれ、管理人は鍵を取り替えてくれたようだ。よかったよかった。
でも1つはっきりしたこと。
担任の仕事って、もしかして幅広いんじゃない?

 
 
 第百二十五話.歌の授業。

5回だけだが、月曜日は中級クラスの午後の授業を担当する。
時間割からいくと、月曜日は6時間連続の授業になるのだ。
今まで週3回、2時間の授業数のJTOからすると、6時間連続の授業はかなり大変だった。これって、ただ単に慣れてないだけのことだけどね。

さ、月曜の午後、といったらお休みタイム。眠くなるよなァ・・・。
何か楽しい授業にしたかった。
色々考え、歌とビデオの授業に決めた。
歌は今流行りの歌、それでいて意味がわかり、勉強できるもの。
・・・これって難しい。
でも学生からのリクエストもあり、スマップの「世界に1つだけの花」と平井堅の「大きなのっぽの古時計」を選んだ。
歌詞を虫食いにし書いてもらったり、文法も勉強し、楽しくできた。
その日は月曜日。
そう。「スマスマ」がある日だった。
次の日、学生が、
「先生、きのうの『スマスマ』でこの歌を歌いました。一緒に歌ったよ。」
そういってくれてうれしかった。

 
 
 第百二十六話.中級クラスと横浜へ。

この中級クラス、なかなか行動派。
1人元気な女子学生がいて、その学生がイベントの計画を立てていた。
どうやらみんなで横浜に行くらしい。
というのもこの中級クラスの担任の先生が横浜に住んでいるから。・・・JTOもね。
そう。JTOも誘われました。
計画を聞いてみたら、かなりハードなスケジュール。
中華街探索→山下公園探索→新横浜へ移動し、『ラーメン博物館』でラーメンを食べる→桜木町へ移動し、ランドマークプラザで自由行動→コスモワールドで遊ぶ→解散。
でも楽しそうだ。

そして当日。
無常の雨。
石川町のホームで待ち合わせ。しかし時間になって集まったのは担任の先生とJTOのみ。
2人で内心、不安になっていた。
その後携帯で連絡をとりあい、なんとか集まれた。
中華街で軽く食べ、山下公園へ。
このころ、雨がひどくなる。傘もひっくりかえるくらいの風も吹いてきた。
でもみんな、無理やり写真を撮りまくる。
そして次の「ラーメン博物館」へ。
実はJTO、横浜に住んでいて初めてだった。へへ。
そこへ着くと入場するための人が並んでいた。15分くらい並んだかな?
中も人がたくさんいて、ラーメンを食べるのにまた並ばなければならなかった。でも昭和初期の夕暮れが描かれた町並みはいい雰囲気だった。
ラーメンを食べ、お土産を買って、いざ、桜木町へ。
ここでは2時間の自由時間が与えられていた。・・・ツアーみたいだね。
その後遊園地へ移動。
雨はまだ降っている。
ジェットコースターは動いていない。人もまばら。でもみんなで観覧車に乗った。
夜の観覧車に乗ったの、って初めてかもしれない。っつーか、観覧車自体、数えるほどしか乗っていないのよね。
でもとってもきれいだった。雨の雫が夜景をさらにキラキラさせ、幻想的だった。
たまには、いいね、こういうのも。

そして今日の横浜ツアーは終わった。
学生と近くなれた、いい一日だった。

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