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日本語教師JTO 担任編5 |
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第百五十三話.韓国料理を食べに。 |
JTOはずいぶん前からアピールしていたことがある。特に韓国人学生の前で。
それは・・・。
JTOは韓国料理が好きだが、その中でも大好物なのが
「カムジャッタン」
あ〜っ、こう書いているだけで食べたくなってきた・・。
「JTOはカムジャッタンが好きだよ。」
と学生の前で言うとみんな顔を輝かせる。「これでもかっ!」というくらいにアピールしまくった。
日本人が知っている韓国料理といえば
・キムチ
・チヂミ
・○○チゲ
・ジャプチェ・・・
こんなとこだろう。
でもJTOはカナダで「カムジャッタン」の味を知り、是非日本でも食べたい、と思っていた。
そのアピールのかいがあって、学生が誘ってくれ、カムジャッタンを食べに行くことになったのだぁ〜。
新大久保の駅に集まり、8人ほどで店へ行く。
たしか店の名前も「カムジャッタン」だったような・・・・。
店に入るとまだお客はいなかった。奥の座敷に陣取り、待ちに待ったカムジャッタンを注文!
このときあと2人、先生が参加していた。この先生方はカムジャッタンの存在を知らなかった。
そして、ブツが目の前に。
クウゾーッ!
あとはガムシャラに食って食って食いまくる。
鍋の中身はドンドンなくなり、そのかわり鍋の隣の器には牛の骨が山のようになっていく。
あ、「カムジャッタン」とは、じゃがいもと牛の骨つき肉を少し辛いスープで煮込んだもの。
だから進めば進むほど骨の山ができあがる。
もちろん、何種類かのキムチも堪能。肉もおかわり。
腹がはちきれんばかりになり、やっと満足。
ふと周りを見ると、お客で満席。
・・・うまかったぁ・・・・。よかったぁ・・・・。
実はカムジャッタンのお土産を買ってかえろうと思っていたのだが、その店では扱っていなかった。
すると学生がもう1つの店を教えてくれ、案内してくれた。
忘年会シーズンということもあって、その店の前には10人くらい並んで待っていた。
ある学生がお土産用のカムジャッタンを注文してくれ、無事、もって帰れた。
次の日にも家でカムジャッタンが食べられるなんて・・・。
その日は幸せな気持ちのまま眠りに入った。
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第百五十四話.クリスマスパーティ。 |
恒例のクリスマスパーティ。
学生が主体になって企画・運営するパーティだ。
事前にクラスからスタッフを募り、何回か会議を開き計画をたて、この日を迎えた。
まず楽しみなのは食べ物。
各国の色々な料理がテーブルに並んでいる。どれもこれもみんなおいしい。「日本語教師になってよかったぁ。」と思う瞬間だ。
学生と先生がグループを作る。これはパーティの受付をしたときに「ねずみグループです」と告げられ、そこへ行くとおなじねずみのマークがはってある椅子の輪があり、そこへ加わる、というものだ。
1グループ7人くらい。そのグループが8つくらいできていた。
クラスも国籍もバラバラ。普段は話すチャンスがない学生が一緒になり、交流を深める。
いいねぇ。
あとは食べながらゲームをして楽しんだ。
ゲームでいい成績を取ると点数がもらえ、総合得点によって豪華?賞品がもらえるシステムになっていた。JTOは腕相撲に参加。しかし超強い学生に負けてしまった。
ドンドンゲームは進むが、JTOのねずみグループはダメグループで、ぜんぜん点が取れなかった。
その後のビンゴもダメ。参加賞をもらって終わった。
パーティが終わってから、JTOのクラスの学生と飲みに行った。
実は何人かが12月いっぱいで学校が終わるのだ。そのお別れも含めて・・・・。
この何人かの中には、例のドイツ人とキューバ人が含まれていた。う〜ん、寂しくなるな・・・。
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第百五十五話.新しい学生。 |
去っていく学生もいれば、入ってくる学生もいる。
この時期には珍しいのだが、タイからの学生が2人入ってきた。
実はこの学生、上のレベルのクラスから降りてきた学生だった。そのクラスではちょっと難しい、ということのようだ。初級の文法は一応終わっているとのことなのだが、まだ定着しておらず、もう一度初級の後半から勉強しなおすことになったのだ。
この学生は仕事で日本語使わなければならず、どうしてもあるレベルまで到達しなければならない。
タイではなんでも優秀な大学を卒業したらしい。でも、語学となると、また違ったセンスが必要になり、いい大学をでたからセンスがある、とはいえない。
でもこの2人、とてもまじめで熱心だ。
タイ語は良くわからないけど、なんでも語順が日本語と反対らしい。
「日本人」ということばでさえ、「人日本」となる。だから書くときも話すときも、つねに頭をフル回転。
「〜は〜より・・・だ」の比較の文章はいつも反対になってしまう。
最初クラスに入ったときは緊張していたのか、笑顔があまりなかった。でも、このクラスのいいところはやさしいところ。常に声をかけてあげ、日本語での会話を試みようとしてくれていた。
みんな、ありがとう。
そしてだんだん、笑顔が見られ、口数も多くなってきた。冗談もいえるようになってきた。
よしよし。
がんばろうね。
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第百五十六話.恐ろしい初夢。 |
大晦日の夜から風邪っぽく、年越しはコタツに入って寝ていた(←こんなことしてるから風邪ひくんだけどね)。だからどれが初夢かわからないんだけど、とにかく、1月1日に夢を見た。
この初夢、超恐ろしかった。
JTOの両腕が切り落とされているのだ。イヤーッ!!!
でも特に痛くもかゆくもなく、「しょうがないな・・・」と思っている。そんな夢だった。
夢から覚めてハッ、と思い、自分の腕を確認したくらいだ。
基本的にJTOは夢をたくさん見る。一晩に何本も。色つき。においつき。でもハッとして起きることはあまりない。それだけに、今回の夢はリアルだったのだ。
どうも気になって、ネットで「夢占い」のページへ行き、いろいろ調べてみた。
するとこんなことが。
「あなたの周りの大切な人がいなくなるかも」
・・・・JTOは「とうとう離婚か。それともだれか死んでしまうのか」などと考えてしまった。でもこの内容は、「仕事上での右腕だった人」や「仕事をするときに頼りにしていた人」と、付け加えられていた。
・・・なんにもなければいいけど・・。
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第百五十七話.プライベートレッスン。 |
1ヶ月だけの短い期間だけど、1人短期のレッスンが入った。彼は台湾人で、オーストラリアに住んでいる学生だった。・・・・なかなかかわいい。将来は医者になるとかで、一生懸命がんばって医学部で勉強している。でも日本文化にも大変興味をもっていて、映画、音楽、文学など、あらゆるものを知りたいという気持ちでいっぱいな学生だった。
1ヶ月なので、教科書はとくに使わず、日常で使う言葉を中心に教えていった。
でも形容詞や動詞の活用の基本は知っておいたほうがいい。それでそのへんはきちんと入れた。彼はこの動詞の活用に興味をもっていた。おもしろいらしい。
そして教えたことはほぼ頭に入り、次の時間にはそれを使えるようになっていた。すごいねぇ。
でも彼の口癖が、会話する前、考えているときに言う「Amm・・・Ammmm・・」(日本語だったらえーっとみたいなもの)だった。「アム・・・アム・・・」と連発。
「あむちゃん」と呼ぶことにした(本人の前ではいわないよ)。
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第百五十八話.初夢が正夢に。 |
新年最初の授業。みんな元気に登校してくれていた。うれしかった。
先生方とも久しぶりに会い、冬休みの過ごし方について色々雑談をしていた。
すると、1人、先生がJTOの前に座った。この先生はJTOが担任をしているクラスに一緒に入ってもらっている男の先生で、養成講座でもお世話になり、色々頼りにしている先生だった。年も近く、大先輩にもかかわらず、色々冗談も言える間柄だった。
その先生が神妙な顔つきで「JTOさん、お話があるんです」といってきたときにはちょっと不安になった。
「そんな、私は結婚しているし、気持ちはありがたいけど・・・」
と変な妄想も少し、少ししてみた。ばかでした。
この先生、最近体の調子が悪く、医者に行くとのこと。自分なりに症状を調べてみたら、もしかして入院することになるかもしれない、というのだ。確かに元気がない。大丈夫かな・・。
明日病院へ行って検査してもらい、その結果次第では授業に差し支えることになるかもしれない、ということだった。
4人1組で1つのクラスを受け持っているため、1人授業ができないと、それにあわせて代行をお願いしなければならない。この先生は今の状況をJTOに知らせてくれ、今後についてもそれとなく話してくれた。この先生はほかにもクラスをもっいて、しかも担任のクラスは進学クラスだった。
一番つらいのは本人。でも体がゆうことをきかないんじゃ、しょうがない。今は健康を取り戻すことが一番。無理して余計にひどくなった人も少なくない。こういうときはお互い様だ。
そして次の日の夕方、連絡があった。
即入院。1ヶ月ほど。退院しても絶対安静。今期の授業はちょっと無理、との話だった。
・・・JTOは初夢を思いださずにはいられなかった。
「頼りにしていた人がいなくなる・・・・」
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第百五十九話.さらに1クラス。 |
専任の先生がしばらくお休みすることになり、多少時間割も変わった。
JTOはもう1クラス受け持つことになった。中級の中レベルくらいかな?
だから今JTOは「初級」「中級の中」「中級の上」の3クラスを持っている。さらに別に「漢字」「プライベートレッスン」のクラスも持っている。・・・意外と自分がタフだった、ということに今ごろ気づいた。
この中級の中クラスは雰囲気がとてもいいクラスだった。なんか、明るい。男女のなかもいい。
選択授業でもう会ってる学生もいたし、漢字の授業で毎週会っている学生もいた。よく見ると、去年の4月に担任だったときの学生が数名混ざってる。
授業は教科書を途中から引き継いですることになった。この教科書も以前扱ったことがあったので、特に問題なく進められた。
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第百六十話.課外授業。 |
JTOが担任をしている初級クラスでは、ずいぶん前から「どっか行こう」という話がでていたが、なかなかチャンスがないまま、こんな期末になってしまった。教科書も終わらせなければならないのに、遊びに行ってもいいものか、とも思ったけど、行かせてあげたかった。
すると、もう1つの初級クラスもどこか行く、という話がでていたので、一緒に行くことに決めた。
場所は上野の国立科学博物館。
化石やら隕石やら、なんか色々あるみたい。ただ見て終わるのはつまんないから、何かないかな、とネットで調べていたら、ちょうどワークショップをやっていた。それに参加できればなお、楽しいかな?
ポカポカ陽気の上野。1月下旬でも、もう梅が咲いていた。
博物館は、博物館。適当に、ダラダラ見て歩いた。でも恐竜の化石のところではやっぱり男の子が興味津々。でも色々見て回って、だんだん疲れてきていた。
そこでワークショップへ行ってみた。
そこでは「星の砂」を観察しよう、というものをやっていた。みんなを無理やりそこへ参加させる。
「星の砂」の絵を描いてみたり、「星の砂」の正体を調べたり、5粒ほどお土産にもらったり・・・。みんな、ボランティアの人たちが丁寧に教えてくれた。学生達も一生懸命説明を聞いていた。
ボランティアの人が「みんな、日本語上手ね〜。」と誉めてくれ、なんだか自分が誉められたかのようにうれしかったな・・。
その他、そこには不思議なものがたくさんあり、例えばパズル状になっている三角形を四角い箱の中にきちんと納める、とかちょっと頭を使う道具がたくさんあった。難しいよ。
一通り見て、解散した。
しかしここには動物園もある。行きたい人を聞いてみると、タイの学生2人が行ってみたいといったので、行くことにした。JTO自身、いつきただろう・・。まだ数回・・いや、まだ2回目くらいかもしれない。
たまには動物園もいいね。閉園時間ギリギリまで遊んで、そのあと飲みに行きました。
居酒屋で色々話したけど、この学生の悩みを聞くことができた。なんとか力になってあげたい。
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第百六十一話.日本語能力試験。 |
12月に試験がおわり、JTOの試験対策の文法の授業もおわり、一息ついたころ、この試験の発表があった。学生達は死に物狂いで勉強してたし、いい結果がでればいいな、と思っていた。
JTOが担当したクラスはほとんどが1級を受験。難しいよね・・・・。学生はもっと緊張しているだろうな・・。
そしてある日、学校にどっさり郵便物が届いた。試験結果の手紙だ。
結果は・・・・。
今回、JTOの学校の1級の合格率は80%を超えていた。これは過去最高の記録らしい。
JTOが担当したクラスもそのほとんどが合格!!すごいよ!!きみたち!!
JTOもうれしかった。
ちなみに、学生にはもう1つ、「日本留学試験」というものもある。世界中の学生が受験するものだが、この学校には、な・なんと!
世界一番の学生がいるのだ!!
すげーよ!!すごすぎる!!
校長先生、鼻高々!!
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