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日本語教師JTO 養成講座編2

 

第二十六話

学校、始まる。

 

第二十九話

演習1。

第二十七話

名詞文。

 

第三十話

動詞文・存在文。

第二十八話

形容詞文。

 

第三十一話

演習2。

 
 第二十六話.学校、始まる。

当初、Martyは昼間の時間のを希望していたが、夜の時間に変更になった。というのも、どうやら今回のこの講座、Martyとあと1人の、たった2人っきりの講座ということ。あらぁ。ちょっと寂しいわね。・・・2人だけで採算とれるのかな、と心配になってしまった。もう1人の方が昼間お仕事をされているため、時間が自由なMartyがあわせることになった。2人だもんね。先生方も大変よね。まとめた方がいいもんね。特にバイトとかもしていなかったMarty。夜の部に変わっても大丈夫だったので、了解した。
6:30から始まる。早めに学校に到着。もう1人の人はまだ来ていなかったが時間になり、校長先生がきて、「開講式」をとりおこなった。そう。たった1人の「開講式」。・・・・・これって、すんごく贅沢な講座だよね。ほとんどマンツーマンの授業。普通、養成講座は1クラス15〜20人くらいと聞く。これは考えようによっては先生独り占め状態。そのぶん、濃い授業を受けられる。ふふっ。ワクワクした。
ちょっと想像していたが、Martyが第一期受講生・第1番だった。なんかくすぐったい気分。1番の名に恥じぬよう?がんばるぞ。
校長先生曰く、もう1人の受講生は、なんと台湾人の男性。カナダで養成講座を受講した時にも台湾人の女性と一緒に勉強したが、ここでもか!と、台湾人の勤勉さと一生懸命さを感じた。そうこうしているうちに、そのウワサの男性到着。
「遅れてしまって、申し訳ありません。」
ふ〜む。完璧な日本語だ。敬語バッチリ。・・・・ビジネスマンのようだった。品のいいスーツを着込み、きちんとしていた。年のころは・・・50才くらいかなぁ・・・。新しい出会いにMarty、超ワクワク・ドキドキ。すると校長先生、Martyのために1つ提案をしてくださった。夜の授業は6:30開始だったが、Martyが昼間の時間から移動してきたこと、横浜から通うのに早く終わった方がいいこと等考えて、6:00開始ではどうでしょう、とその台湾人の男性に交渉してくださったのだ。な・涙。
その男性・・・・リンさんも快く承知してくださった。そうして「開講式」は終わった。
その後、早速授業開始。国語教育と日本語教育の違いや教科書の話、導入時、場面設定が大切、など、全体像を勉強した。まだ「導入」という言葉の意味がよくわからなかった。
そうして、興奮の第1日目が終わった。

 
 
 第二十七話.名詞文。

最初、授業の流れを勉強する。ここではじめて「導入」「練習」「定着」という言葉を聞く。ちゃんとした専門用語があるのね。「導入」とはその日やることの基本的な文型を、その日初めて聞く学生に状況を設定してあげて、その文型を導くこと。「基本的な文型」といっても、どんな文型があるのかもわからず(これからソレをやるんだけどね)、あまりピンとこなかった。とにかく、「導入」で新しい文型を覚え、ひたすら「練習」し、覚えたことを使えるように「定着」させる、ということだ。
初級段階の学生にはあまり板書をせず、耳を慣れさせることが大切。黒板に書くとソレを目で読んでしまって、耳から入ってこないそうだ。ふむふむ。書きゃいいってもんじゃないのね。そっちの方がわかりやすいような気がするんだけどな。
でも必要な時はもちろん板書する。その時、学生にお尻を向けないように、と言われた。なるべく学生の方を見ながら板書する。「半身」という姿勢だ。半分体を学生の方に向け、その体制で書く。・・・・こんなん、できんの?難しいよね。タダでさえ字がきったないMarty。半身になったら読めないかもしれんぞ。
んで、「名詞文」の勉強。「・・・・は〜です。」や「こ・そ・あ・ど」「数量詞」など。
ここでMarty、もう挫折。このあたりを勉強している学生って、日本に来て一週間とか、とにかく日本語がまったくわからない学生なのよね。「あいうえお」だってままならない。その学生相手に上記の「私は学生です。」なーんて、どうやって教えるの?教師が使える言葉・単語が、ナイ。例えば「皆さん、私の後に一緒に言ってくださいねぇ。」なんて言葉、いえないのよね。そう。この段階ではほとんとボディラングエジ。教師の演技力が問われるんだわ。だから言葉よりも、「絵」。「絵カード」と呼ばれる教材がちゃんとあるのです。これを見れば何のことをいっているのかすぐわかる。
カナダでは英語を使って教えていた。いわゆる「間接法」。まったくこのような心配がなかった。・・・そうかぁ。これが「直説法」なんだ。む・むずかちぃ・・・。

「これはペンです。」じゃぁ、これはどう教えるの?「それ」「あれ」との違いを、どう教えればいいの?もちろん、使える言葉は、前の授業段階までに入っている単語や文型のみ。・・・「既習」−すでに習ったという意味だが、「未習」の言葉などは使えない。
実は、日本人が日本人に「これ」「それ」「あれ」を説明するのも難しいと思う。どう違う?距離?「これ」と「あれ」の間に「それ」がある(笑)?間違いじゃないけど、距離だけでもない。例えばアナタが友達に背中をかいてもらう時、どんな会話をする?
「どこ?ここ?」
「そこじゃない。・・・そう。そこそこ。そこかいて。」
なーんてね。これを考えると距離だけじゃないってわかる。

この週の最後に「練習の種類」というのを勉強した。「導入」のあとにやる「練習」。この練習にもたくさんの種類があった。「代入練習」「変形練習」「2文1文練習」・・・・など。その文型にあった練習方法があるのだ。まだMartyはどうやってこれらの練習を使っていくのかわからなかった。でもこの練習たち。とっても大事な役目をもっていた。

 
 
 第二十八話.形容詞文。

私たちが「国文法」でならったのは、「形容詞」と「形容動詞」。区別の仕方としては、「暑い」・「面白い」など、「い」で終わるものが「形容詞」で、「簡単な」・「好きな」など、「な」で終わるものが「形容動詞」。でもこれは日本人向けの区別。外国人にはこのままの用語を使うわけにはいかないので、少し簡単に、「形容詞」は「い」で終わるから「い形容詞」、「形容動詞」は「な」で終わるから「な形容詞」と言う言葉を使って教える。
形容詞も比較的早い初級段階で教えるため、簡単で頻度の高い単語から教える。これらには「絵カード」が有効的。汗をかいて暑そうな絵をみせれば、ああ、暑いんだな、とわかるもんね。そして日本人は考えることなく使っている形容詞。「今日は暑いです。」「昨日は暑かったです。」「今日は暑くないです。」「昨日は暑くなかったです。」これらの文章を見ると、形容詞に活用があるのだ。英語圏から来た学生には信じられないようだ。
それじゃ、過去形を教える時はどうする?
「暑かったです」といきなり教えることはできない。「あつかった」という言葉が、生まれて初めて聞く言葉であり、「暑い」が変化した言葉ということもわからない。でも、「昨日」という言葉はもう知っている。「暑いです」という言葉も習ったばっかりだが知っている。これをうまく組み合わせて教えなければならない。この「暑かった」という言葉を学生に理解させることが「導入」になる。導入後はこの形になれるためにひたすら練習。何回も繰り返し、スラスラ言えるようになるまで練習。その後「代入練習」。「代入」なので、「昨日」のところを「今朝」・「先週」などに変えて練習する。そして「変形練習」。「暑い」が「暑かった」、「寒い」が「寒かった」と、他の形容詞を使ってどんどん練習。
これが「練習」になる。
初級の学生は口も耳も、日本語に慣れていない。だからこの段階の学生は、どんどん口で言わせ、それを自分の耳で聞いて覚えていくしかない。

その他形容詞には、「連体修飾」・・・・つまり「これは新しい本です。」という、「形容詞+名詞」の形があったり、「AはBより大きいです。」・「Aはこの中で1番大きいです。」という「比較」の形があったりする。この「比較」の文のところでは、またまたMarty挫折。大概、比較の文の時には「好きです」という言葉を使うのだが、この「好き」という言葉の導入が難しかった。たかが「好き」という言葉だが、この言葉を知らない学生に、日本語だけで「好き」という言葉を教えるには、どうすればいい?皆さんだったらどう「導入」しますか(笑)?

この週は、他に「教材」の種類や、「音声学」を学んだ。
次の週の授業日程を見てみると、「演習」とある。「演習」?何をするのかな、と思っていたら、早速習ったことの確認のための模擬授業だった。ひえー。どうすりゃいいの?
「名詞文」と「形容詞文」の、「導入」から「練習」までの演習だ。先生方が学生の代わりになってくださる。げー。すげー緊張。導入のための絵カードを作んなきゃ。土・日は遊んでられないにゃ〜。

 
 
 第二十九話.演習1。

「演習」という言葉を聞くと、「匍匐前進」や「射撃用意」などの光景を思い浮かべるのは私だけでしょうか。むか〜しむかし、防衛大学の友達からよく聞かされた言葉でした。
そんなことはどうーでもよくて、こっちの「演習」。いわば小さな模擬授業だ。カナダの矢野アカデミーでも、最後の方に模擬授業があったのだが、その時とはまったく状況が違う。先生方が学生の役をしてくださっているが、かえって緊張。嫌な汗もでる。妙に手足が冷たい。口はカラカラ。・・・・でも久しぶりのいい緊張だった。
今回の演習では今まで習ったところの中で、「導入」から「練習」までをしなければならない。まだこの流れがよくつかめていない状態だったが、とにかく、やる。
前日、自分で作った絵カードを使う。・・・・ぎこちない。
最初は「名詞文」。・・・わけのわからないうちに終わってしまった。「導入」から「繰り返し練習」、「繰り返し練習」から「代入練習」へ移行するときに、変な「間」がある。シ〜ン、となってしまう。板書するときにも思いっきり、Martyのかわいいお尻を学生の方へ向けていた。板書するときもシ〜ン、となってしまう。
「形容詞」では、「北海道は沖縄より暑いです。」と言い切った。へへ。思いっきり間違えた。・・・う〜ん、演習になったのだろうか。
先生方を見ると、なにやら紙に書き込んでいる。評価ね。

すべて終わり、評価をいただく。Martyの場合、声はいい、とのこと。なかなか通る声をしていますね、と。そう。これは大事なこと。とりあえず第一段階クリア。
でも内容的にはまだまだ。第1回目の演習だし、流れ自体がまだつかめていないし、まとまりのない内容だったと思う。でも、先生方から、ここはこうした方がいい、これは必要なかった、など、こと細かく教えていただき、足りないところ、訂正箇所などを補ってくださった。自作の絵カードはなかなか評判がよかった。これに頼りすぎてもいけないけどね。

とにかく、どんどん間違って、どんどん訂正していってもらう。これが「実践」である。初めてなんだから間違えるのは当然。経験もないのだから、状況がつかめなくて当然。そのために先生方がいらっしゃって、逐一訂正してくださる。
これから演習は週一回、毎週続く。常にいい緊張を保っていきたい。

 
 
 第三十話.動詞文・存在文。

形容詞を覚え、さらに動詞が使えるようになれば、かなり自分の言いたいことが言えるようになる。やはり最初はよく使う動詞から。
動詞にはいろいろな形がある。
「ます形」・「て形」・「た形」・「辞書形」・・・・・・もちろん、日本語教育の中での呼び名だが、この段階ではまだ形の説明は必要でなく、とにかく最低限の動詞を覚える。動詞にも過去形や否定形があり、基本はそこから。
その他に、「勧誘表現」もある。たとえば「〜しませんか」や「〜しましょう」など。すると先生がおっしゃった。
「では、この2つの表現、どう違いますか。どう導入しますか。」
う〜ん、そうだなぁ・・・。頭の中ではなんとなく、違いがわかっている。でもこれを日本語がわからない学生に、限られた言葉のみで教えるとなると、・・・・難しい・・・。
さらに「勧誘」されたら、「断る表現」も覚えなければならない。ここでは日本人特有の、しかもとても簡単な、ハッキリ断らない手法?を教える。その一言を言うだけで、断りの意味を表す。なんだかわかりますか?状況を考えて、セットで覚えるべき文型だ。

そして「存在文」。これは「います」「あります」の文型になる。これまで、「います」「あります」なんて何にも考えずに使っていた。もちろん、「います」は人や動物。「あります」は物や植物。でもこれは?
「パトカーがいる」「私には子供が2人あります」・・・・・。ここが日本語の難しいところだ。
「存在文」には、「います」「あります」だけでなく、大事な「方向」も必要。「○○に××があります。」の、○○には、「テーブルの上に」とか「駅の前に」とか、「上・下・前・後・・・・」といったものが入るが、さて、この「上・下・前・後・・・・」を、どのように導入するか。「上」という言葉を今まで聞いたことがない学生に、どうやって「上」を理解させるか、だね。
そして来週の「演習.2」のお題がでた。
「○○はどこにありますか。」の導入から練習まで。これはこの言葉を使うシチュエーションがとても大切になる。私たちは普段この言葉をどんなときに使っているだろうか。まず、そこから考えなければならない。う〜ん、アレかな・・・・。

 
 
 第三十一話.演習2。

前回の「存在文」の演習。「○○はどこにありますか。」の導入から練習まで。
まず、この言葉を使う状況はどんなときか・・・・。例えば、交番で行きたい所の場所を聞くときや、デパートの案内係りのお姉さんに売り場を聞くときなどがそうである。Martyはデパートの案内係りのシチュエーションを使って導入することにした。
その前に、何か小道具が必要。前の晩、いわゆる「教材」を作る。自分の記憶をたよりに、デパートの売り場案内を考える。よく、エレベーターや階段に貼ってあるアレ。あれ・・・、どんなんだったっけ・・・。大体1階に化粧品や傘売り場があるよね・・・。2階には女性服・・?いろいろ考え書き出してみる。A4の用紙じゃ小さすぎるから、何か大きな紙・紙・・・・。カレンダーの裏がいいや。そのカレンダーの裏に線を引き、案内板を作る。見てすぐわかるように、モノは折り込み広告に入ってきた写真を切って貼ってみる。簡単なほうがいいよね。うんうん。いい感じ。自己満足する。

コレを使って、いざ、導入。
ホワイトボードに貼り付け、案内嬢の絵を書き、「ここはデパートの案内コーナーなんだ」と印象付ける。ここからは一人二役。
お客と案内嬢の役をやる。
私1「あの、すみません。」
私2「いらっしゃいませ。」
私1「かばん・・・かばん・・・わかりません。
かばんはどこにありますか。
私2「かばんですね。かばんは4階にあります。」
私1「ありがとうございました。」

ちょこちょことホワイトボードの前を行ったり来たりして二役終了。そのあとは「繰り返し練習」。「かばんはどこにありますか。」を何回か繰り返し、口がまわるようにする。今回ももちろん先生方が学生の役。Martyが言った後について練習する。
そして「代入練習」。「かばん」の所を時計・めがね等、いろいろ代入してさらに練習させる。でもこのときの単語・・・めがねとか時計は事前に勉強した単語か、その日の導入の前に新規に入れておく必要がある。このときの練習も、ただ教師が言った言葉をオウム返しに繰り返したんじゃ意味がないので、絵や写真を見せ、学生が自ら発話するように持っていかなければならない。

こんな感じで1通り終わった。さ、これから評価。全体的なこと、細かいとこまで指摘される。
まず、肝心の「導入」。この導入の仕方ではたして学生が理解できたかどうか、そこが一番大事なところだ。先生曰く、多分大丈夫だと思うが、「メリハリ」がない。・・・メリハリというのは、導入の際、二役はいいけど、たくさん話す中で、どれが今日勉強する新しい文型なのか、はっきりしない、ということ。例えば、声をそこだけ大きくするとか、話すテンポをゆっくりにするとか、それこそメリハリがないと、中にはわからない学生もいるかもしれない、とのことだった。まだ始まったばかりだし緊張もしていたんでしょう、と、かえってねぎらっていただいてしまった。
そのほかには、「立ち位置」。一人二役をやるとき、ホワイトボードの前を行ったり来たりするわけだが、そのときなるべく学生に背中を見せないようにする、ということだった。確かにMartyはクルクル背中を見せながら二役をしていたわ・・・。

と、ほかにもまだまだ指摘された所はあったが、色々と収穫があった演習だった。だんだんと要領もわかって来て、次こそうまくできるように頭に叩き込んだ。・・・これができれば苦労はしないんだけどね。

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