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JTOタイトル

日本語教師JTO 新米教師編2

 

第六十三話

第2課。

 

第六十七話

第6課。

第六十四話

第3課。

 

第六十八話

第7課。

第六十五話

第4課。

 

第六十九話

第8課。

第六十六話

遠足。しかし・・。

 

第七十話

第9課。

 
 第六十三話.第2課。

週3回、1回2時間の授業。4人1チームの先生。
だから、JTOの授業に限らずみんな、導入部分の授業だったり、教科書の練習問題の授業だったり、色々だ。前の日にどこまで進んだかを確認し、その後準備にとりかかる。
JTOとしては、ホントは導入部分の授業をドンドンして、経験をつけなければならないのだが、課によって出来るときとできない時がある。これはしょうがないけどね。・・・・時々導入じゃなくてよかった、と思うときもあったりするケド(内緒)。

このころはまだ学生も自分の意見なんて言えないし、ただひたすら教師の言うことを繰り返し、音に慣れていくのみである。まあまあ話せる子が時々質問をするんだけど、語順がバラバラで、助詞がなくて、何を言いたいのか分からないときもある。伝わらなくて、学生が悲しそうな顔をして笑ったときは、つらい。何とかしてあげたいんだけど、どうしても何を言いたいのかわからない。結局学生が伝えることをあきらめてしまう。これも経験でわかってくるものなのかなぁ。

さて、2課というのは「これ・それ・あれ」。
そしてJTOが担当する授業は「この・その・あの」の導入だった。
「これはAさんのペンです。」

「このペンはAさんのペンです。」
の違いって何?確かにわたし達日本人は両方使っている。そうね、韓国人も日本語に近いから、この文型はすんなり入るらしい。たぶん、英語にだってこの言い方あるよね。
最近の子は英語もできるからある程度は理解できるんだけど、そうじゃない学生もいる。もともと勉強が苦手な子、っていうのかな。そんなに難しくないとは思うんだけど、学生の顔を見ていると、「どうもこの子、わかってないんじゃぁ・・・。」という感じを受けるときがある。センスっていうか、勘っていうか、そういうのってあるよね。
この文型はここで完璧にしなくても、あとあと常に使う言葉なので、無理に100%教えなくてもいいと思う。なんてったって、日本語だけで説明ができないのだから・・。教師が使う語は限られてる。2課なんて、ほとんど使えないと同じ。

大体この文型が入ったら、楽しい活動。
学生のペンを集め、箱に入れ、「このペンは誰のペンですか。」と、学生が学生に聞く。教室の机は「コの字型」になっているので、学生達はみんな顔を見ながら勉強できる。順番に回す。みんな、上手にできた。20人も学生がいると、中にはちょっとヘンな学生もいる。
「このペンは誰のペンですか。−わたしのです。」
と、1人で質問と答えを言っていた。・・・う〜ん・・・。

 
 
 第六十四話.3課

今までの教室があまりにも狭いので、広い教室へ移動した。ここは広いね。9階か。眺めもいいし。
でも、9階はこのJTOのクラスしかない。つまり、他のクラスの学生との交流があまりはかれないということだよね。ちょっとかわいそうかな。

3課というのは、「ここ・そこ・あそこ」。
入る前に、その課の新出語彙というものを入れておかなければならない。絵カードを用意し、ひとつひとつ確認。「食堂」やら「事務所」やら、漢字もでてくるし、「ワイン」や「エレベーター」といったカタカナもでてくる。中国語圏の学生は漢字を書けばすぐ意味が取れるが、このJTOのクラスには英語圏の学生もいる。・・・正確に言えば、母語は英語ではないけど、英語が話せる学生、といったとこ。
そういった学生達は漢字どころではない。ひらがなの形と音がようやく合ってきた段階なのに、漢字が出てきて、さらにカタカナも出てきて・・・・・。かなりつらそうだった。
だから新しい言葉を入れる時には、この段階では、まず漢字を書き、ふりがなをつけ、読みを確認し、絵カードと一緒に意味を確認する。「食堂」という漢字1つととっても、「しょくどう」と書いただけでは、どの字が「しょく」で「どう」なのか、わからないものね。「食」という字が「しょく」と読むことすらわからない。この3課では「食べる」という動詞は使えない。
と、新出語彙だけでたっぷり30分かかってしまった。
前の日に新出語彙表を渡せれば、まじめな学生は辞書で意味を調べてくるんだろうけど、そうじゃない時はその場になっちゃう。そしてその意味が入っていなければ、これから勉強する
「ここは事務所です」
という文型がわからなくなってしまう。

でも「これ・それ・あれ」がすでに勉強してあるので、ある程度はわかってくれたようだ。
あとは次の時間の担当の先生にお任せし、定着をはかっていただこう。

次の時間、JTOは授業がなかった。引継ぎノートを書いていると、遠くのほうで、
「ここは事務所です。」
「あそこはエレベーターです。」
と聞こえる。次の先生が活動を行っていた。そうか、学生を動かしてもいいんだよね。えーと、なんてったっけ、「TPR」だっけ?まだまだイッパイイッパイのJTOだった。

 
 
 第六十五話.4課。

またもや新出語彙から。やはり30分くらいかかってしまう。
でも、4課というのは、「時間」や「曜日」。新出語彙がそのまま言葉の導入になる。ある意味、この課はひたすら口頭練習する課だ。あとは活動を楽しくできればいい。
ここで最近知ったことがある。
「しんにほんごのきそ クラス活動集」
という本があったのだ。なんだぁ、こんないい本があるじゃないの。早速見てみる。
ふんふん、面白いね。これを使おう。

「○時〜○時まで」という営業時間と「定休日 ○曜日」と書かれた紙を用意し、学生同士でそれぞれ聞きあうというもの。まあまあ楽しくできた。

さて、ここで、あいうえおが書けない組の学生達に補習をすることになった。授業は進んでいくが、教科書が読めなければせっかく勉強したことの定着も難しい。・・・・・本当は、できなければ自分で復習なり自習なりできるものなんだけど、そういったことをしない学生達でもあった。・・・だからなのね。
ひらがなとカナタナの確認の授業。そしてここまでの教科書の復習。
JTOも週2回ほど担当になった。たった25分の補習だが、やらないよりはましかな・・・。

補修を受ける学生は6人。そしてその中の1人の学生が、さらにプライベートレッスンを受けたいと申し出てきた。この学生は短期なので、できるだけ勉強して帰りたい、とのことだった。学習意欲はあるようだ。これもまた、JTOが担当になった。
JTOって、そんなに優秀?と思ってはいけません。タダ単に、時間が有り余っているからなのだよ。
でも、これもJTOにとっては貴重な時間。つまり、自分の経験値を上げるいいチャンスなのだ。やればやっただけ広がるもんね。
このプライベートレッスンは週1回。・・・・ある意味、責任重大よね。

 
 
 第六十六話.遠足。しかし・・・。

進学課の学生達の試験が始まる前に、恒例の秋の遠足を行うことになった。
今年は2グループに分かれ、「高尾山」と「長瀞」へそれぞれ行く・・・はずだった。
学生達はみんなウキウキ。特にJTOのクラスは日本に来て間もない学生が多いので、学校以外の日本の景色を見られる絶好のチャンス。とても楽しみにしているのがよくわかった。
しかし。
その日は朝から雨。微妙な、雨。昼にはやみそうな、雨。う〜ん、1番やっかいな、雨。
降るならドドーッと降ってくれよぉ〜。

とにかく早めに学校へ向かう。授業の用意もして。
学校へ着く。朝、7:45。なんと、JTOのクラスの学生が2人、学校の前にいるじゃない?!ハヤッ。
よく見ると、大きなリュックを背負っている。
「今日、遠足は・・・?」
学生に聞かれたが、この時点でJTOもまだどうなるのかわからなかった。とにかく事務所へ行く。
遠足担当の先生が来ており、電話連絡に忙しかった。
結局、今日の遠足はナシ、ということになった。
「高尾組」は池袋集合だったので、別の先生が直接集合場所へ行き、学生を集め、学校へ向かわせていた。学生の住んでいるところによっては、直接現地へ行ってしまった学生もいた。なので、「高尾駅」で放送をかけてもらった。

そうこうしているうちに、JTOのクラスの学生もボチボチと学校へ集まってきた。
「センセイ、エンソク、ダメ?ドウシテ?」
「今日は雨です。遠足、バツ(と手で×を作る)。」
「ドウシテ。ダイジョウブ。エンソク。イク。コレ、センセイ、ドウゾ。」
その学生がくれたものは、学生の国のマンゴージュースだった。・・・かばんからどんどん出てくる出てくる。10本はあっただろうか。こんなに重いもの、今日のために、みんなのために持ってきたんだ・・・。う〜ん、つらい。しかも、普段お化粧をしていないこの学生、今日はバッチリしている。遠足にかける意気込みが伺えた。しかし。
・・・・・ここからが大変だった。
本当にこの学生、遠足に行きたかったようだ。教室に入ってからもずーっと言っていた。
(英語でとめどなく)
「どうしてだめなの?説明して。雨?大丈夫よ。行くだけでいいの。行きたいのよ。どうして?どうして?日本人は約束を守る人種でしょう?しかも、今日、私の主人の病院の日だったのよ(ご主人は若くない)。でもその主人が『行って来い』と言ってくれたのよ。主人が心配だわ。昨日はスーパーでたくさん買い物したし、ジュースも用意してきたのよ・・・・。」
延々と続いた。
「もう泣きたいわ。帰りたいわ・・・。」
・・・んなこと言っても、しょうがないよぉ・・・。

この日の1・2時間目の授業は、JTO。さあ、どうしよう。
9:00始まりで、30分ほど待ったがいつもの半分の学生しかいない。みんな教科書なんて持ってきていないし、遠足がなくなったことで非常〜にテンションが下がりまくっている。授業なんてできないよね・・・。
こういうときのために、JTOは前もって100円ショップでビンゴゲームを買っておいたのだ。
無印で買っておいたお菓子の賞品もある。
ビンゴゲーム、しちゃおう。ちょうど数字も終わったことだし、いい復習になるかな?
ビンゴのルールを知らない学生もいたので、簡単に説明し、開始。
これが意外と盛り上がった。例の学生もしぶしぶ参加。しかし賞品をゲットすると、ニコニコ顔になっていた。
JTOひとまず、ほっ。

次の時間は通常の授業だった。例の学生に「次は授業ね。」と言うと、「OK。OK。」と納得してくれた。けど、半分の学生がいないんじゃあまり進めない。ちんたらやって終わった。
うーん、なんとか遠足に行かせてあげたいなー。本当は遠足は延期ではなく、中止になっていた。あとは各クラス単位での課外授業という扱いの遠足になるらしい。そのうち、絶対みんなで行こうね。

 
 
 第六十七話.6課。

5課はいつのまにか他の先生がサクサク進め、、終わっていた。だからJTOは授業の始めに復習をして確認。
そして「〜ませんか。」「〜ましょう。」の導入から。
「映画を一緒に見ませんか。」「ええ、いいですね。見ましょう。」
といった具合。
導入と言っても、状況がキチンと設定されていれば、そんなに難しくない文型。「〜と一緒に」という言葉もその前に入っている。ここでは、まず動詞の練習をしっかりやり、その後の活動で定着させたほうが頭に入るよね。
その活動も用意してきたのだが、いつもJTOの授業は、予定しているところまで行かない。教案の中では時間配分を考えているのだが、実際の授業は遅くなっても、それより早くなることはナイ。
でもこの学校のいいところは、それでいい、ということ。
つまり、「今日中に○課を終わらせてください。」といったことはなく、学生の理解具合に合わせていい、ということ。実際やってみて、例えば動詞の活用が不安定だったら、そこに時間を割き、徹底的に練習させるのもよしということ。授業予定はあくまでも予定。学生主体ということなんだろうね。
インターネットなどで他の日本語学校の様子を垣間見てみると、「1日1課」とか、とっても無理な授業をしてるところもあった。
うん、だんだんこの学校の良さがしみてきたぞ。

 
 
 第六十八話.7課。

この課は「あげます」「もらいます」・「貸します」「借ります」・「教えます」「習います」を勉強する。
「あげます」というコトバを初めて聞く学生。ただ単純に、教師から学生へモノを渡すだけだと、それこそ「渡します」とか、「借ります」「貸します」と混同してしまうかもしれない。これって、実はむずかしいよね。でもこのあたりまでくると、学生たちは自分の母国語で書かれた参考書のようなものも持ち始めるし、辞書も活用し始めるので、特に質問もなく進む。
「あげます」「もらいます」は、前の先生が導入を終わらせていたので簡単な確認をする。
そこでボールを用意した。このボール、いとこの子供が来た時に遊ばせるためのボール。ふにゃふにゃしていて野球のボールくらいの大きさ。・・・ちょっとヨダレ気味。

学生を2つのグループに分け、教室の中央に集める。それぞれにボールを渡す。そしてそのグループの中で、学生Aは「私はBさんにボールをあげます。」と言ってボールをパスし、受け取った学生Bは「私はAさんにボールをもらいました。」と言う、というもの。
まだ学生同士でも名前を覚えていないようで、はにかみながら名前を聞いてパスをしていた。
これが意外と盛り上がる。かなりしつこくやる。学生も入れ替える。時々輪に入り、一緒に遊ぶ。

だいぶ和み、打ち解けてきた。
その後、席にもどり、口頭練習。
「去年の誕生日に何をもらいましたか。」
「明日は恋人の誕生日です。何をあげますか。」
など、質問。これも意外と盛り上がる。恋人ネタって、みんな、目を輝かせて乗ってくるのね。

次の時間は「貸します」「借ります」の導入。
絵カードを活用し、繰り返し練習・代入練習をする。気持ち悪いほどにすんなりできる。
どんどん進む。
次は「教えます」「習います」の導入。こでもさくさく進む。
その他、「私はAさんに電話をかけます。」「私はAさんに手紙を書きます。」も導入。

この7課が終わると、ちょっと面白いゲームができる。
学生を5つのグループに分け、「だれ」「いつ」「どこ」「だれと」「何をした」を考えてもらう。ひとつのグループが「だれ」だけを考える。もう1つのグループが「どこ」だけを考える。・・・そしてグループから1つずつ出し、文を完成させる、というもの。だからヘンな文ができあがる。
これはJTOが小学校のときにやったゲーム。面白いんだよね。
例えば
「○○先生は昨日トイレでAさんとご飯を食べました」
なーんてね。
なかなか楽しい7課でした。

 
 
 第六十九話.8課。

8課は「形容詞」。新出語彙がそのまま形容詞の導入になる。この形容詞はひたすら絵カードを使うしかないのかな。JTOの時間には新出語彙の読みまでしかできなかった。次の時間担当の先生に引継ぎする。すると熱いコーヒーや冷たいジュースなどを用意されていた。そっか、体で覚えさせるのが1番だよね。JTO、まだまだだな。

この8課、次JTOが授業に入ったときには、もうすでに導入も練習も終わっており、会話練習と最後の問題だけの担当となった。会話練習にはたまにはテープを使おうか、と思い、会話文を虫食いにし、テープを聞いて書かせてみた。

 
 
 第七十話.9課。

ここでは「好きです」「上手です」「わかります」「あります」を勉強する。
この「好きです」等の文章って、ちょっと今までとは違う。
今までは、
「私は○○です。」や「私は○○を××します。」や「あの山は高いです。」など、「は」を使った文型だけだった。しかし、ここでは、
「私は映画が好きです。」や「私は料理が上手です」や「私は漢字が分かります」や「私はカメラがあります」など、「が」が出てくるのだ。
JTOはこの最後の、
「私は○○があります。」の導入からやることになった。
最初は「物」があります。から。車や時計などを例に練習。
次はちょっとやっかいな「約束」「時間」「用事」「仕事」があります。
「約束」なんかは「指きり」を見せれば、みんな大体理解できる。でも「用事」があまり飲み込めていないようだった。新出語彙で確認しているはずなのに、一晩でも経ってしまうと、忘れる。ま、そんなもんだよね。特にこのクラスは、この時点では20人中、たった1人しか進学する人がいなかった。ほとんどが3ヶ月、もしくは半年のコース。もしくは、日本人配偶者や日本滞在者。そうそうガツガツ勉強しなくてもいい?クラス構成だったのだ。みんな、のんびり。(実はこれがあとで変わってくる!?)

あと、この課では理由の「〜から」を勉強する。
「私は音楽が好きです。毎日聞きます。
→ 私は音楽が好きですから、毎日聞きます。」 
練習には、この課で習ったことをフル活用。
前の文・・前件を言って、後の文・・後件を作ってもらう作業をした。
・お金がありませんから、・・・・・・・・・。
・時間がありませんから、・・・・・・・・・。
・今日は恋人の誕生日ですから、・・・・・・・・・・。
などなど。
前の課が形容詞だったので、その形容詞もどんどん使う。

でも、やはり補習組の6人はきびしい。
補習ももう終わりなのだが、はたして成果があったのだろうか・・・・・。う〜ん、きびしいなぁ。
この中の1人の学生とはさらに一対一のプライベートレッスンをしているが、・・・・・きびしいなぁ。
この学生は来月も引き続きプライベートレッスンを受けることにしたようだ。とりあえず、JTOの教え方で・・悪くはなかった、ということかな。ちょっと安心。
この学生、普段の授業は休みがち。朝起きられないと言う。でも、プライベートレッスンは午後。だからそれにはきちんと出席できる。本当は授業で分からなかったことの復習をしたかったのだが、その授業に出ていないので、このプライベートレッスンで文型の導入をしなければならなかった。1週間分の文型導入?できるわけがない。なので、彼女が休んで、まったく手がつけられていないところを中心に教えた。授業料も払っているのに、さらにプライベートレッスン料も払って・・なんて、もったいないね。・・・金持ち?
でもこの学生、だんだん上達してきた。日本語でなんとか質問しようと、一生懸命になってきた。これが普段の授業の時にも見られたらな・・・。
でもうれしかったこと、1つ。
「JTOせんせいの、このじゅぎょう、おもしろい、です。」
・・・・うれしいです。

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